ほとんど世界最大規模とされる東日本大震災が我が国を襲った。
日々 、犠牲者の拡大が報じられ、被災者の方々の苦境もますます深まっている。
福島原発の今後の推移や、大規模な余震の可能性など、予断を許さない厳しい状況が、なお続いている。
今回の震災で亡くなられた方々のご冥福を祈ると共に、苦境の中で懸命に耐えておられる被災者の皆さまには、心からお見舞いを申し上げたい。
また、困難な状況下、必死に救助に当たって下さっている自衛官をはじめとする多くの方々に、深甚の敬意と感謝を捧げる。
人は「いざ」という時に、その人物の真価が現れるという。
率直に言って、今こそ日本人の「真価」が問われているのだと思う。
敗戦以来と言ってよいであろう、この国民的な悲境のさ中にあって、日本人皆がどれだけ心を一つにして、被災者の方々に思いを寄せ、被災地域の復興を支援出来るか。
今回の悲劇をむしろバネとして、日本そのものの真の再建に繋げていくことが出来るか。
それが問われている。
報道を通じて知ることが出来る被災地の方々のお姿は、痛々しくもまことに立派である。
最悪の状況下にあって、整然と秩序を保ち、しかも他者への優しい思いやりを失なっていない。
街全体が津波にのみ込まれた宮城県南三陸町の危機管理課の若い女性職員が、自身が津波に襲われるまで、マイクで住民に避難を呼び掛け続けていたことが報じられている。
映画「氷雪の門」で取り上げられた、旧ソ連軍の侵攻を前に、最後まで樺太の真岡郵便電信局で電話交換業務に携わって殉職した女性たちを思い出させるが、同様の覚悟を持って献身的努力を続けておられる方々は、各方面に多いはずだ。
日本の地震への取り組みを高く評価し、「不屈の日本」と題する社説を掲げた海外メディアもある。
或いは、「我々は百年たっても日本人に追いつけない」と感想をもらした近隣国の人もいたという。
すでに日本人の真価が発揮されつつあると言ってよいのかも知れない。
だが、これからが正念場だ。
今回の惨劇を乗り越えて、震災以前を凌駕する日本を打ち立て、日本人が災厄をむしろ跳躍台に転化し得る力を持つのを証明して見せることは、決して不可能ではないはずだ。
何の役にも立てないが、私もその為に微力を傾けたい。
(それにしても、阪神淡路大震災の時といい、今回といい、最悪の災害が起きる時に必ず最悪の首相なのは何故なのか)
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